かぴこと子かぴの徒然日記

読んだ本など徒然なるママの隣で蜩が鳴いているカナカナカナカナ?

TA・KA・KO

大学時代、源氏物語ゼミに入りたかったのに定員オーバーで入れず、似たようなもんだろうと源平物語ゼミに入った、失礼な人間が私です。

結局、源平物語(平家物語)ゼミはとても素晴らしくて楽しく、研究の方法や醍醐味を教えてもらいましたし、担当教授は研究内容だけでなく人間的にもとても魅力的な方で、その後の人生に沢山の影響を与えてくださいました。

教えて頂いた中で今でも一番役に立っているのはお酒の飲みかたですが。

合宿で、それぞれ思い思いのお酒を飲みながら(当然教授は一升瓶抱えて)受けた講義は今でも昨日のことのように感じます。

私は平安末期から鎌倉前期にかけての文化も好きですが、江戸は元禄時代の円熟した文化も大好きです。文明開化の明治時代も好きですし、浪漫主義の大正時代も、群雄割拠の戦国時代も大好きです。

でも、やっぱりなにより一番好きなのは、平安前期~中期!

清少納言紫式部の活躍した時代が大好きで!好きで好きで!

あの時代にタイムスリップして生活したいかと言われたら、全力でお断りしますが…。1日くらいなら垣間見たいなと思ってはいます。←だって、平安中期くらいまでだと、私は既に死んでるかとんでもないおばあちゃんか。女性の平均寿命は(貴族で)30歳以下でしたからね。あと、私は庶民オブ庶民。パイオニア庶民。先祖代々庶民!平安期の庶民の暮らしなんて…記録にほとんど残ってないレベルですし、どうやら散々なものだった様子なので…。今のままの地位身分で、尚且つ今のままの性別年齢で平安期に行くのは…まっぴら御免被ります。

でも。好き。どれくらい好きかというと、20代後半、まだ夫とも知り合う前。お金を貯めて独りで京都まで泊まりがけで出かけ、太秦映画村で十二単を着せてもらい、写真にまで残すこと二回(それぞれ重ねの色目が違うのです…)。宿泊費交通費含めて10万ちょいちょい。それくらい好きです。

今でも、子ども達が大きくなったら…徳島にある『御所 社乃森徳島の温泉旅館|旅殿 御所 社乃森 公式ホームページ』に家族で泊まりにいって、装束体験その他したいなぁと、虎視眈々と貯金しているくらい…。

と言うわけで、子ども達をまず味方につけようと、童心社から出ている『たかこ』と言う本を買い与えました。

 

たかこ (絵本・こどものひろば)

たかこ (絵本・こどものひろば)

 

 こちらです。

たかこさんは小学生5年生です。

『ぼく』のクラスに転校してきた、ちょっと変わった女の子です。

…ちょっと。

…ちょっと?

表紙に描かれているのは『たかこ』さんです。小袿でしょうか。綺麗な重ねですね。

手に持っているのは扇。髪型は垂髪。鬢批(びんそぎ)がないのは子どもだからでしょう。

変わってるというか。平安朝の貴族の子どもじゃないですか。

 言葉使いもまぁ古風。

子どもに限らず、人って自分と他人との違いに敏感なところがありますね。良しにつけ悪しきにつけ敏感です。

自他の違いに気づくのは精神面の発達にとても大切な事なんですが、一歩間違えると差別や排斥にも繋がります。私とあなたは同じだけど違う。違うけど同じで、それぞれ良いところもあれば、悪いところもある。

そこまで理解して自分のものに落とし込めるといいんでしょうけど…。大人でも難しいです。なかなかできるもんじゃありません。

認めることと受け入れることは違うし、共感することと同意する事も違います。大人こそ難しいかも。

この絵本に出てくるたかこさんも、まぁ変わった子なので、クラスで孤立してしまったり、大事なものを隠されたりします。

それを本人とクラスメートがどう乗り越えていくのかは実際に読んで見てください。私がここで語りたいのはそこじゃないんで!

上の子は、いま四歳です。たかこさんの話す言葉は「をかし」「いと はずかし」「こころやすくならむ」など、まぁ今風じゃないんですが、なんとなーく理解してます。ストーリーは完全に理解してます。

「なんでこの子は扇で顔を隠してるの?」

「なんでこの子の言葉は私と違うの?」

など、読み聞かせると質問がたくさんたくさん出てくるんですが、そのあたりは想定の範囲内なので任せとけ。お母さんはそれに詳しいぞ!と答えられるのは嬉しいですね。

先日も夜寝る前の読み聞かせタイムに「これ読んで」と持ってきたのがこの『たかこ』でした。読み終わったあと

「たかこちゃんのお洋服、変わってるけどきれいな色だね」

「この色、何色っていうの? かさねってなに?」

と聞いてきました。よっしゃー!きたー!って、心の中でガッツポーズ決めましたよ!

重ねの色目について話したかったんですが、夜でしたので…

「この服は、昔々、日本のお姫様が着ていた服なんだ。たかこちゃんの話す言葉も、昔の人の話し方。あなたのひいおばあちゃんよりずーっと昔の人の言葉遣い。服もそうだね」

「例えば『あか』でも、たくさんの『あか』がある。濃い赤、薄い赤、黒っぽい赤、白っぽい赤。全部違う名前がついてるし、同じような色でも、言葉によって言い方が違うんだよ」

と、簡単に説明をしたところ

「わたし、いろんな色を見てみたい!いろんな色の名前を教えて!」

と、目を輝かせていました。その日の夜は一緒に寝ているぬいぐるみの色や、かけている毛布の色について話しているうちに寝てしまいましたが、翌朝、真っ先に起きてカーテンをあけ

「おひさま出てるよ!色を探しに行こうよ!」

と、着替えもせずに飛び出そうとしていました。幼稚園だったので「帰ってきたらね」と約束しまして。帰り道~夕方まで、あれは?あれは何色?なんていうの?と、エンドレス質問タイム。持ち歩ける色事典が欲しくなりました…。楽しかったけどね!

下の子が真似して「めーぎー(萌葱)」「こーばー(紅梅)」と、指さしながらいう姿…。

こえはをさなげにて、いとうつくし…